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ラグナロクオンライン内で起きるギルメンの日常や、恋(?)模様などなどを徒然に、期間限定で掲載しています。※時折BL要素が入りますので、ご容赦を。
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俺が、タナトスの調査を終えて、家にかえったとき、室内に違和感を感じた。
いつもなら、半日も綺麗に持たない部屋が、出かけたときのまま綺麗になっている。
シーツが引きずられたようにベットから落ちているのは、アシェが寝起きに落としたものだろう。
「アシェ?ただいま」
家の中を、あちこち見てアシェを探しながら、ギルドのエンブレムを付け直したとき
怒涛のように、ギルドチャットが流れてきた

『ガルム!!!とりあえず、お前戻って濃い!』
ギルドマスターの朱里の声
『朱里!頼む!早く着てくれ!アシェのPT情報が消えた!』
ガルムの悲鳴のような絶叫
『消える直前の場所は?!』
アルファルファが叫ぶ


何…?
アシェがどうしたって?


『朱里さん?アシェがどうかしたんですか?』
俺がGチャで呼びかければ
『ゲイン!!!戻ったのか、大変だ!アシェが…』
珍しく、ギルマスの焦った声が聞こえる。
『ゲイン!今すぐグラストヘイム城2Fにきてくれ!!アシェが彷徨う者に攫われて行方不明なんだ!』
ガルムの叫びが聞こえ終わる前に、俺は家を飛び出していた。





グラストヘイム古城2F―---------


俺が現場に辿り着いた時、ガルムが俺の元に駆け寄った、G情報を見て到着を知ったのだという。
全身の裂傷と壊れた鎧が、戦いの激しさを伝えた。
利き腕からは小手を伝って大量の血液が滴り落ちていて、最早まともに剣を持つ事が出来ないのは、一目瞭然だった。

俺は、満身創痍のガルムの声をかける
「ガルム、貴方はもう戻って治療を受けたほうがいい」

力なくガルムは首を横にふる
「パーティー表示にアシェの居どころが表示されないんだ、気を失ってるならいい……だけど、あの状況じゃ……」
ガルムの様子から、最悪の事態を想像する。
いや、想像したくなくても、予想してしまう


名前の消えたクリスマスリング


その意味は

その製作者が、この世から消えたという事……。


「ガルムはここに居てください、もうすぐ救援隊がきますから、俺はテレポで探します」


幾度もテレポートを繰り返して、何度もアシェの名前を叫ぶ


生きていてくれ

祈るように、願うように、俺はアシェを呼び続けた。

「アシェーー!!返事をしろ!」

何度目のテレポ着地を繰り返しただろう、テレポートしてその場に敵がいれば切り伏せる。
いつもとなりにいてくれるアシェはいない、アシェの支援がないことが、コンナに不安に思ったことはなかった。
城の大広間に舞い降りて、辺りをみわたせば
ふと、小さな光が自分の前を横切った。


「蛍?」
こんな所に?
訝しんで、その儚い光を目で追えば。
どくんっと心臓が止まる。
 
大広間の中央に、どくろと骨が散乱した場所があった。
いや、それだけならよくある光景なのだが、その場所がら引きずったような、太い血の後。

まるで、血まみれの人間が這って移動したような……。
まるで、自分の心臓が耳元にあるような感覚。

違う違う違う!
何が、か。
何をか…


ただ胸の早鐘は静まらない
違う……

アシェじゃない!!!


その後を、目で追えば
小さな革靴が、崩れかけた柱の下からかすかに覗いていた。

心臓が、早鐘のように打ち聞こえる
どくん、どくんと、耳障りな音。
自分は、ここにいるのか?

「あ…アシェ?」
掠れた声は自分のものだろうか?

しかし、自分の声で金縛りがとけ、動けるようになり、その場所に駆け寄れば、最初に眼に入ったのは、柱の影で、黒くうつ伏せになった華奢な足。
敵にも、味方にも見つけにくい、斜めに倒れた柱の側で、かすかに入る月明かりに、銀色の後頭部が僅かに反射する。
恐る恐る、声をかけ、一歩ずつ近寄れば、アシェがうつ伏せで倒れていた。
先ほどの蛍がいなければ、コンナ場所は見つけられるはずがなかった
「アシェッ!!!」
俺は、弾かれた様に駆け寄り、抱き上げた。
抱き上げた、アシェは眼を開けたままだったから、最初未だ息があるのかと思った。
「アシェ!大丈夫か?!今、皆が来るから!しっかりしろ?!!」
物言わぬ唇、かすかにも動く事の無い体、肩から腰にかけて背中からの刀傷、腹部に数本刺さったままの矢と、両手剣
「アシェ?」

腕の中で、全く動く事ない彼に、呼びかける
「アシェ!もう、大丈夫だぞ!俺が着たんだ!一緒に家に帰ろう?」


削れた指輪。
名無しになったクリスマスリング



だけど…信じたくは無かった。



アシェは、眼を開いたまま、息絶えていた。


血に塗れた握り締めた手には、何度も青石を潰したのだろう、青い宝石の粉がびっしりと付着していた、その手の中にも、1つ。
硬く握り締めた手が、詠唱の途中で絶命した事が知れる。
口と、鼻から溢れた血液が銀の髪を汚し、かつての輝きはない。

強張った手と、見開かれた瞳が、最後まで彼が戦っていた事を物語っていた。

完全支援型プリーストのアシェが戦える方法は、限られていたはずだ
それでも、必死に戦ったのだろう。

あの広場の髑髏や、骨はアシェが必死に倒した彷徨う者や、レイドリック達の成れの果てだと予想できた。

セフティオールと、ホーリーライト、ヒール砲、使える支援スキルの全てを駆使して、アシェは戻ろうとしたに違いなかった。

敵にも味方にも見つけてもらえなさそうな、柱の影まで
必死で這って、身を隠して。
最後の石は、自分が帰る為のポタを開こうとしていたのかもしれない。
小さく開かれた口は、詠唱の途中だったのだろうか


「うわあああああああああああああああああああっ!!!!!!」


慟哭というのは、きっとこんな叫びなんだろう

「あああああああああああっ!!!アシェーーーーッ!!!」



もう、動かない彼を。
きつく抱きしめて叫ぶ

「約束したじゃないか、帰ったら、お前の誕生祝をするって!!!
なのに、ちゃんと材料だって買っててあるんだ、お前が喜ぶようにって
なあ、ちゃんと俺を見ろよ!目を開けてるなら、見てくれよ、アシェ!!」

自分を映さない、空色の瞳を覗いて、怒鳴るようにアシェにいう

いくら怒鳴っても、叫んでも。

奇跡は起きない。


神様は、いなかった
 
 
 
 
君に会えてよかったと。

そう思えるようになるまでに、少し沢山の時間が必要だった。

俺は君を護りたかったし。

君も、俺と離れるつもりなんてなかっただろう?
 
 


最後まで、俺の元に戻ろうとしてくれた、砕かれなかった青い石が

今日も、俺の胸元で細いチェーンに繋がれて小さく光る。



アシェが亡くなって半年。
白い小さな墓石を訪れるのは、俺の毎日の日課だった。
一人になるのが嫌いな君を、一人で逝かせたことの後悔。
君はちゃんと天国の門をくぐれただろうか?

一人でないては居ないだろうか?

夢にすら出ない、君の事を
思っては、悔やむ日々。


今日もまた、墓参りをすませ、臨時を覗いてぶらぶらと歩き回る。
ふと、今日が君とであった日だと言う事に気がついた。

プロンテラ西の門の側
小川のせせらぎの聞こえる場所で、俺はクリーミーに負けて転がっていたんだっけ?
君は、転がった俺を少し笑いながら、イグドラシルの葉で起こしてくれた。
あの時、君に出会えたから。
今の俺がいる。

あの時、君が差し伸べてくれた手を、今も確かに覚えているよ。


西の門に向けて、歩を進める。
久しぶりに、あのあたりを散策するのもいいかもしれない
そんなのん気な事を考えながら、門をくぐると


「…昼間っから…」

現場は阿鼻叫喚のテロが起きていた。
プロンテラの中央とちがって、人通りも少なく。
鎮圧に時間がかかっているようだった
愛用の剣をすらりぬき、目の前に立ちはだかる深遠に切りかかる
「速度増加!!ブレッシング!」
と、予測していなかったところから、支援が飛んできた。
「すまない!助かる!」
俺は支援者の顔を見ずに礼を言い、次々と敵をなぎ倒す。
その間も、速度とブレスは切れることなくかけ続けられ、ヒールの祝福も、たえる事はなかった。
(ちょうど前衛の俺と、プリーストさんが居てよかった)
そう思いながら最後の敵を叩き潰し、額の汗をぬぐって、支援と祝福をくれたプリさんにお礼を言おうと振り返れば。

ばたんっ!!!


その場にいたのは、まだ幼い少年アコライト
「ちょっ!大丈夫か?!」
その場に倒れこんだ彼を抱きかかえ顔を覗き込む
「うーん…多分大丈夫です、魔法こんなに連続して使ったの初めてだったんで…」

少年のまわりには、精神力回復で食べたのだろう葡萄やレモンの皮が転がっていた。
そこまでして、辻支援をしなくても良いのに……と、思いながら、倒れた彼を抱えあげ木陰に寝かせてやり傍に座り、落ち着くのを一緒に待つ。
いくら人通りが無いとはいえ、道の真ん中で、一人で倒れるのは誰だって恥ずかしいだろう、ましてや原因が自分への支援では、コレを見捨てては騎士としても人間としてもダメだろう。
そんなことを考えながら、座っていると。
彼はしばらくして落ち着いたのか顔を上げて、その場に正座しりペコリと頭を下げる。
「付いててもらって、ありがとうございます。」
その顔を見て、俺は息を呑んだ。
日に透ける銀の髪、柔らかな青い色彩の瞳……。
あぁ、でも。
君のほうが、春の空の色なら、彼は初夏を思わす少しだけ深い青。
海の色かもしれない 。 

そう、かつてのアシェそっくりな少年がその場にいた。
黙って見つめる自分を不審に思ったのか、彼は小さく首を傾げて俺を見る。

「あの……?」
「あぁ、すまん。知り合いに余りに似ていたから、驚いた、俺はゲイン、ゲイン=アルファード君の名前を教えてもらえないか?」
あの日と同じ場所で、彼は笑って答えてくれた。
「僕は、せくらっていいます」
いつか、君に聞かせる事が出来るだろうか?
俺は君に出会えて本当に幸せだった。

これからも、君を亡くした痛みと、悲しさと、後悔は消えることはないと思うけど。


「せくら、いい名前だな」「ありがとうございます」それじゃあ、と立ち上がるせくらの腕を、俺は咄嗟に掴み引き止める。
「?あ、あの?…」
怪訝な顔をするせくらに、俺は意を決したように、言った。

「良かったら、今から出かけないか?」



見てみたかった。
君によく似た彼が、幸せになるところを
君に、面影を重ねていたと言われると。
否定は出来ないんだけど、でも彼が、君とは似つかない事は、本当は俺が一番分かっていたよ。
あの日の思い出をなぞるように、生きてきた。

ああ、俺は。
君たちに出会えて本当に幸せだった。


だから、どうか…


「ゲインさんっ!ゲインさんっ!!目を開けてください!」
うっすらと目を開ければ、銀の髪を振り乱して、せくらが叫んでいる。
隣に立つ緑の髪の騎士が、せくらの肩を抱いていた。
それを見れば、俺は安心して微笑む。
蒼い瞳からぽろぽろと零れ落ちる、透明な雫。
ああ、もう。泣くなよ
お前達なら、きっと良い冒険者になれるから………。

ゆっくりと、せくらの頬に手を伸ばし、その雫を拭って。

俺はゆっくりと目を閉じた。


もしも、もう一度生を与えてもらえるなら。
例え同じ運命だとしても、俺は君と生きたいと思うよ………。

アシェ、愛してる。

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安定して狩れていたのだ。

ソレが現れるまでは………



「キメラだ!!!!」

バードが甲高い声で叫び、直後血飛沫が上がる。
槍騎士が前に立ち、バードを後方に投げ渡し
アシェがサンクを引き、支援をかけ
アルファルファはバードをサンクの中に押し込めヒールをかけつずけた。
幸い、バードは一命を取りとめ、意識も戻る。
アシェは、ほっとして支援を続けながら、バードと、ソレを癒すアルファルファをみて、
動きを止めた。

「支援切らすな!」
騎士が叫び、マジシャンがストームがストの詠唱に入る


アルファルファの後ろに深遠が2対、彷徨う物の数体レイドリックアーチャーの
弓を番える姿も視界の端に確認していた。
ガチャガチャと、走りよる、鉄の鎧の音。


騎士にフル支援をかけた後で、ウイザードと、アルファルファ、バードにセフティオール
「アシェ!!自分にヒールしろ!」
ガルムは自己ヒールをかけながら、グランドクロスで敵をなぎ払う


アシェに向けて放たれた矢は、アシェの肩に刺さっている、眉をしかめながら、それを引きぬき、前衛への支援を優先させていたのだ。
「撤退するぞ!ポタをだせ!」
リーダーである騎士が、キメラを潰し、アシェがワープポータプルを開く。
次々とメンバーがポタに乗り込み、ガルムが乗ろうとしたとき、アシェのすぐ横に彷徨う者が現れ、ガルムの後ろに、深遠の騎士が現れた、アシェは咄嗟にガルムにアスペルシオをかける「アシェ!ポタにのれ!」自分は蝶の羽を握り潰して戻るからと、続けようとしたとき…
独特の音が響いた

キュィンという、嫌な音が深遠のいななきの中で響く
ガルムの目の前で、彷徨う者とアシェは、姿を消した

ガルムは直後に、アシェに貰ったアスペルシオの助けをもらい、深遠を潰す。


時を同じくして、タナトスタワーで戦うゲインは、自分の薬指に付けた、指輪に違和感を感じていた。

休憩時間に小手を外して確認すると、確かに彫られていたはずのアシェの名前が削り取られ
「名無しのクリスマスリング?…」


手のひらに乗せて見つめる、ゲインの耳に休憩終了の合図が響く、今直ぐにでも取って返したい気持ちを押さえ、名前の消えたクリスマスリングを指にはめなおし、再び隊列に加わった。
 

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第五話

アシェはゲインが出て行った後、再びベットに潜り込み
寝なおそうと試みる

未だゲインの温もりが残ってるし、今寝ればゲインに抱かれてるような気持ちで寝なおせると思ったから。
ウトウトと仕掛けたとき、冒険者カードからギルドチャットが響く

『アシェー!今何してる?!』
響いたのはガルムの声
『今から城に行くんだけどいかないか?』
眠い目をこすりながら、アシェは起き上がり
「うーーーーー、お城…?」

『アシェ、この間行った事がないって言ってただろ?丁度臨時で城に行くメンバーがいたんだ、俺とアルファルファがいくんだけど
アシェもいかないか?』
「いくーーー」
もそもそと起き上がり、法衣に着替え靴をはき


ポケットに青石を持てるだけ詰めて


アシェは扉を閉めた。


城2F
目の前に深遠の騎士、後ろにはレイドリックアーチャー、直ぐ横に彷徨う者が数体
「さっすが、お城は湧きが違うね!」
臨時で一緒になったバードがブラギを唱え
直ぐその横で、アルファルファがマグヌスエクソシズム詠唱に入る
アシェはソレを見て、前衛、後衛にキリエ、バックサンク、通常支援詠唱を重ねがけした
危なげながらも、支援の腕も上がり、其れなりに立ち回れるアシェは確実な戦力で
アルファルファとガルムは目を合わせて、小さく頷く


今日。急にアシェを城に誘ったのは
ガルムのアシェに誕生日祝いのつもりだった。
 
 
 
 
 

先日ギルドの溜り場で、アシェをはずして大事な話があるとゲインに呼ばれ
行って見ると、ゲインの手には黄金に輝く
拳大の宝石が収まっていた。

エンペリウム


選ばれた者の前にしか姿を現さないという、神秘の宝石。


以前、朱里もオークダンションで1辞職のころに手にいれ、このギルドを立ち上げたと聞いたことがある。
皆がだまって、ゲインを見つめたときに
ゲインが言ったのだ。

アシェの20歳の誕生日にアシェと、このギルドをぬけたいと
二人で新しいギルドを立ち上げてやっていきたいと
朱里はうすうす、そんな気がしていたと、快く承諾した
アルファルファは、君ならいいギルドマスターになるだろうと、微笑み応援した
ガルムは、苦笑い浮かべながらも、アシェがゲインを愛している事を知っていたから、アシェを泣かさない事を誓わせた。


ゲインもアシェも、二人とも良い冒険者になっていた
二人なら、自分達と同じように、もしかしたらソレ以上のギルドを作ることが出来るかもしれない
3人ともそう思っていた。

アシェがお城に行った事がないといったのは、その直ぐ次の日
まあ、そのうちゲインが連れて行ってくれるよ
などと、答えていたが、今日の誕生日になってゲインがプロンテラ騎士団に呼び出され
ふらふらと臨港広場をあるいていたら、城の臨時が立ち上がっており

ああ、コノメンバー構成ならアシェもいけるな…

遊行に近い形だったため、非公平になることは否めないが
そのほうがアシェは安全に安定して、観光できるだろう

ガルムは、アルファルファをさそいそのチャットに入った。

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第四話

「えー?!今日僕の誕生日だから、苔桃パイ焼いてくれるって約束したのに!」

ベットの中でシーツだけを身に纏い、アシェがふくれっつらで俺を見る

「仕方ないだろう、急にタナトスの調査隊に加われってプロンテラ騎士団から依頼が着たんだから」

折角アシェの誕生日を祝おうと、色々と準備しておいたのに、怒こりたいというより泣きたい気分の俺は
カチャカチャと鎧を身に纏い、準備を整える。
まだ未知のダンジョン調査だから、回復と、もてるだけの属性武器と対応できる鎧
闇はいるかなー…要らないかなあ…

凹みながらも、準備を進めていく

「タナトスって、最近見つかったダンジョンでしょ?」
アシェが眉を寄せてベットの上から俺を見上げ
「この間、調査隊がいって帰ってこなかったってきいたよ?」
心配そうに顔を曇らせる

「大丈夫だよ、今回は王命なんだ、メンバーも粒ぞろいで、精鋭ぞろいなんだから」
愛しい恋人の、さらさらの銀の髪に指を絡ませれば
「ちょっとまってね」
するりと、ベットから飛び出し白い裸体のまま隣の部屋に向かい

いや、俺達の家なんだからいいんだが
目のやり場に困るぞ…アシェ

暫くして、アシェは銀の指輪を差し出した
「ゲイン…これもっていって」
「?銀の指輪?名前が入ってるじゃないか、どうしたんだこれ?」

クリスマスリングの名前要れサービスの時期には、まだまだ早い

「んん…本当は、何年か前のクリスマスに君に告白しようと思って、用意してたんだけど渡せなくてずっとおいといたんだ
お守り代わりにはならないかもしれないけど、もっていって?」

照れた様に言うアシェが、堪らなく愛おしくて、ギュウと抱きしめる。
「直ぐに帰ってくるから、部屋散らかすなよ?」
耳たぶを、甘噛みして、頬にキスすれば
「やだよ、ゲインがかたずけてくれなきゃ…散らかされたくなかったら早く帰ってきなよ」
くすくす笑い、俺の背中に腕を回す

「それに…かたずいた部屋って一人なのがわかってイヤなんだもん」

俺の鎧に身に纏った胸に、おでこをつけて小さく呟く
そう、一緒に暮らしてみて判ったことだった
アシェは、一人になるのを嫌がる傾向がある、病的とまではいかないにしろ
以前、どうして部屋がかたずけられないんだと、怒ったときに
綺麗にかたずいた部屋だと、独りぼっちにされてるみたいで落ち着かないといっていた
その証拠かどうか、俺が家にいるときは其れなりに部屋は綺麗に使っているくせに
遠征などで帰ってくるとぐちゃぐちゃになっているのが常だった。

疲れた身体で、部屋をかたずけるのはキツイのだが
自分を待っててくれてる証拠だと思うと、それも愛しくなってしまうから
恋人馬鹿なのかもしれない
「了解、じゃあ、急いでいってくるよ」


ペコペコに荷物を積んで、携帯食料、回復剤、それからアシェのくれた指輪をつけて
玄関で、彼の柔らかな唇にキスを落とし


「いってらっしゃい!」
手を振る、アシェにみおくられて、俺は出かけていった
帰ったら約束の苔桃パイを焼いて誕生祝を仕切りなおさなきゃな

そんなことを考えながら。

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第三話

【グラストヘイム騎士団二階】


目の前に突如湧いた、ジョーカーに属性を乗せた武器を持ちかえ、ピアースを放つ、後方で鉄鎧の足音が聞こえれば、向きを変え、マグナムブレイク
支援にタゲを移さないように立ち回り、しかし遠距離攻撃は、死角からであったため。
「っつ……!」
アシェの肩口に矢が突き刺さる。
「アシェ!!」
彼の前に回り込み、ブランディッシュスピアで敵を凪ぎ払い、タゲを自分に移すも、即座にかけられたキリエとニュマにより、レイドリックアーチャーからの攻撃を免れ、大きく槍を持ちかえピアースを放てば、アスペルシオとレックスエーテルナが流れるように詠唱され、俺の槍の前に敵は倒れる、直後横湧きしたカリツをアシェがターンアンテッドで葬り。
ようやく、一息着いた。俺は、アシェの元に戻り傷を確認する。
詠唱途中で、無理矢理抜いたのか、傷口が抉れていた。
「馬鹿だな、何で先にヒールをしないんだよ」 
アシェが魔法で自己回復を行うのを、妨げられないように、槍を構えたまま痛そうに言えば
肩を押さえたままで、ヒールを唱え
「だって、ゲインまで怪我したら嫌だったから…」
そんなことを言う。
「嬉しいけど、俺もアシェが傷つくのいやだぞ?」
苦笑い浮かべ、額をつつけばアシェは笑い
「僕達、両思いだね!」
と、ズレたことを言う。
アシェの相方宣言を貰って以来、俺とアシェは少しずつレベルを上げ、いまでは上級狩場と言われるグラストヘイムにも、立ち入れるようになっていた。

「とりあえず、大まかに治ったから、今日はもう帰ろうか?」
破れた法衣の隙間から、ふさがった傷をみて、安堵し。
「そうだな…」 
俺が答えれば、アシェは転送の魔法を唱えワープポータプルを開いた、周囲に敵が居ないことを確認して、ソレに飛び乗り、アシェも又即座にポタにのり転送門は閉じる。


「じゃあ、また明日ね」
いつものように、清算をすませ、帰ろうとするアシェの腕を、何となく掴む
「っ…」 
ヒールでは完全に完治しきれなかったようで、痛そうに眉寄せ
「ゲイン…?何?」
軽く首を傾げて、俺を見上げ、俺はというと、清算中から考えていたことを口にする。
「今夜、お前の家に晩飯作りに行ってやるよ」 
青い目がこぼれたそうなほど、見開かれ、きょとんとした顔でアシェは聞き返す
「何で?」
「何でっていうか、不便だろ?お前、面倒だからって、手当てもせずに飯も食わずに寝るつもりだろ?」

そう、以前にもアシェが具合が悪くなったとき(その時は、酔っぱらいだったのだが)家に行ったら、こいつは見た目に反してモノグサで、部屋は散らかり放題、冷蔵庫は空っぽという、生活能力にかける生活をしていたのだ。

「え~?ゲインすごいね、買い出しも面倒臭いから、シャワーして寝るつもりだった」

あぁ…やっぱり…


「でも、今部屋汚いからなぁ、見られるの恥ずかしいなあ」

「お前の部屋の汚いのなんか、今更だろう」

初めの頃は、早く嫁さん貰ってかたずけて貰え、等と言っていたけど、今となっては他の奴に、こいつの部屋は上がらせたくないというか、アシェだって俺が作る飯が旨いって言ってくれるし…


天国の父さん、母さんゴメンなさい。
息子が好きになった人は、男子です………。


片思いだけどね………。



そんな懺悔を胸の中でしていると、アシェがとんでもない事を言い放つ。
「ゲインは僕の恋人みたいな、ものだから、まぁいいか!」
思わず、歩みを止めて、溜め息をついた。

人が、相方の位置でいようと、日々堪え忍んでいるのに、そういうことを言うのか、こいつは!
「俺たちの関係は、相方だろ?恋人だったら、そういうことをしなくちゃならんだろうが」

平静を装って言ったつもりだったが、アシェの次のセリフでポーカーフェイスは掻き消えた


「僕、…ゲインとだったらいいよ…」
アシェの顔が赤かったのは、夕日のせいだけではなかったと思う。


清算後の帰路が次の日から、同じになり、西門でゲインがアシェを待つことも、その日を境に無くなった。


代わりに、噴水横の民家から、ペコペコの背中に乗せられた眠そうなプリ
と、騎士が連れ立って出かける姿が毎朝見られるようになった



あの日まで……。

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