[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ある、プリーストの話をしようか?
その人は、快活で聡明で、いつでも笑顔を絶やさないまるで、真夏の湖面に光が反映しているようにキラキラと輝いているような存在だった。
さわさわと葉擦れの音が響く、それは枝ぶりの良い、大きな大木の一枝の上にその人は立っていた。
ピンク色の法衣を身に纏い、大きく開いたスリットからは奇麗な足が覗いている。
流れるような腰まであるプラチナブロンドが風になびいては揺れている。
「よっと、……ううん、もうちょっと」
彼女はよろよろと枝沿いに足を伸ばしながら、その細い枝先にいる白い子猫に手を伸ばそうとしていた。
みゃあん とか細く鳴く声は小さく、助けを求めているくせに彼女が手を伸ばそうとすると、じりじりと後ずさる。
彼女が一歩足を進めるたびに、枝が大きくしなり彼女はバランスを崩しそうになっていた
「あーーー、気を付けてくださいよ!マーガレッタさん!!」
自分はその様子を、ハラハラとしながら見上げていることしか出来ない。
「もう、せくら煩い!集中してるんだから静かにして!子猫が逃げちゃうでしょう!」
声をかければ、怒られてしまった。
どう見ても、子猫が逃げているのは自分のせいではないのだが、そう言われてしまうと黙るしかない。
何か、クッションになるようなものはないのかと辺りを見渡すが、大聖堂のだだっ広い庭の一角である、柔らかい芝生の広がり以外には何もなく人も通る様子もなかった。
そんな場所に、なぜ自分と彼女がいるのかというと、プリーストは日々の修行のほかにも様々な奉仕活動がある、自分たちのようなアコライトは毎朝自分を補佐してくれる先輩達から本日のお勤めという形で、朝奉仕の内容を言い渡されるのだが、本日の自分の受け持ちが、廃墟のように草が茂っているはずのこの広大な庭の草むしりだった。
アコライトの修行にももちろん奉仕活動にも真面目な自分は、先輩に渡された大きな籠を雑草で満タンにするべく、裏庭に向かえば奇麗に刈り取られた芝生の上でゆったりと聖書片手に昼寝をしている、先輩ハイプリーストのマーガレッタ・ソリンさんに遭遇してしまった。